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2005年10月11日 (火)

菊地成孔 トーク・イベント 第一日目

昨日、菊地成孔のトーク・イベントへ行ってきた。
以前ブログにも書き、楽しみにしていたのだが、土日連続の深酒のせいか、
当日の正午ころまですっかり忘れていて、慌てて京都へ向かった。

講義のテーマは、
「総体と輪郭 -我々は何故口ずさむのか? -菊地成孔によるメロドロジー(旋律論)講義」
昨日は一日目で、「旋律原論」である。

思い出すままに内容を記しておく。(私的備忘録なので未整理)

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過去はリズムを中心とした講義をやってきた。今回は旋律論を。
所有の欲望、その発展としての旋律を考察。
メロディ(旋律)を音楽の輪郭線として捉える。

●輪郭線=境界線(リメス)としての旋律=メロディの成立まで。
・始原というものは明確にしようがないが、ヨーロッパ(この定義も曖昧)での変遷
 を例に旋律の成立を考察。
 ギリシャ音楽(古代は豊か)、アフリカ音楽(決まったカウント、ポリリズム)
 ローマ&ビザンチンの復声→グレゴリオの単声(100%メロディ)→オルガ
 ヌムの発生(ハーモニー)
 エコー(教会、洞窟などで)がハーモニー発生の一因
 バロックの楕円運動(口では歌えない)
 12音階平均律の誕生(全ての音楽要素のカスタム化)
 歌えない現代音楽(バロックとは違う復声の同時進行には実はメロディがある)
 歌える大統領演説(平均率は発声ですら近似値で飲み込む=メロディ化が可能)

●近代的「権利」の発生
・メロディだけに権利が発生している。
・著作権法(工業所有権法の一部)には、「メロディを権利とする」という記述は
 一切ない。→イメージ、慣習法、限界法。 歌詞は一目瞭然。
・リズムに著作権が発生すると、ロック、ヒップホップは全滅。
・輪郭線だけに所有の欲望が投影される(国境線、憲法における言語、精神分析
 における言語)
・マルクス資本主義構造分析の限界。「時間」感覚の破綻による資本主義の閉塞
・パクリの代表例
70s (ある種の奥ゆかしさ。おそるおそる...)
 「Marlena Show/"You Taught Me How to Speak in Love"」と「サザン・オール
 ・スターズ/"愛しのエリー"」
80s (メロディの一言一句が同じ。時間差は長い)
 「Joe Sample/”Melodies of Love”」と「坂本龍一/”Sheltering Sky のテーマ”」
90s (メロディの一言一句が同じ。時間差が短くなる)
 「En Vogue」と「ドリカム/"決戦は金曜日"」、「オザケン/"今夜はブギーパック"」
00s (複合的なメロディのマージ。腕の確かさ、巧さ)
 「Little Eva/"The Loco-motion」、「Shampoo/"Trouble"」、「Bon Jovi/"Bad
 Medicine"」、「Kylie Minogue/"Locomotion"」、「Beatles/"Come Together"」
 etc..と「オレンジレンジ/"ロコローション"」
・歌詞をパクったモー娘。安倍なつみは謹慎処分になったが、メロディを丸ごと
 パクった坂本龍一はアカデミー賞を受賞。
・パクリを公言するオレンジレンジは、インターネットでの消費者の声のみにより
 「ロコローション」の作曲者クレジットを変更した。
・メロディ限界説(出つくした)という都市伝説。(これの詳細は次回)
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あっという間の2時間。

実際の音を聴きながらの講義。
菊地の情報(知識)量、ボキャブラリ、話術(少し拡散気味がいい)に圧倒される。
脱線する話も面白い。
「やはりそうか!!」とスッキリさせてくれた裏話もあり。
もっと聞きたいと思わせる。
テキスト化されれば全て読みたいと思わせる。

ワークショップの内容はさることながら、良い意味で少しゆるい感じの学生の運営、
適度なキャパの会場もあってか、非常に楽しい時間を過ごせた。
なんたって、「松茸の土瓶蒸し」を横でチンチン沸かしてるくらいだから。

聴講者の年齢(20代多し)が若いのには驚かされた。
思っていたより若いということ。
(マリーナ・ショウを知らない世代。”愛しのエリー”に驚いていた。
 こちらは、"決戦は金曜日"に驚かされたが...)
菊地成孔の支持は確実に拡がっているのだろう。

ともあれ次回が楽しみ。
今度は忘れることなく早めに出向き、晩秋の京都も楽しみたい。

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