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2006年4月 3日 (月)

ジャッキー・マクリーン逝く

Jackie_mclean









ジャッキー・マクリーンが鬼籍に入った。
『AP通信によると、3月31日、米コネティカット州ハートフォードの自宅で死去、73歳。』
という記事に気づいたのが日曜日(4/2)の夕方だった。

私がジャズのオリジナル盤を蒐集するキッカケになったのがマクリーンだった。

昭和30年代生まれの私は、50~60年代のモダンジャズは当然ながら後追いである。
ジャズのレコードを意識して買うようになったのは70年代後半のこと。
キッカケは「クロスオーバー」のブームである。
当初はギタリストもの、今でいうフュージョンばかりであったが、古いジャズも聴いて
みるかということでレコード屋に行き、値札の横にあった寸評を頼りに、最初に手に
した2枚のモダンジャズ盤の片方にマクリーンが入っていた。
その2枚とはミンガスの直立猿人、マイルスのカインド・オブ・ブルー。
当然ながら、KOBばかり聴いていたのだが、直立猿人のミンガスとマクリーンとJR
はなんとなく気になる存在となる。

70年代後半から80年代前半は京都で暮らしていた。
当時、まだたくさんのジャズ喫茶が営業している街であった。
レコードを思いどおりに買う金もなく、中古屋も殆どない時代であったので、ジャズ
喫茶と当時出始めのレンタル屋を利用しながらジャズを聴きたいという欲求を満足
させていた。
京都の老舗『YAMATOYA』にお世話になったことや、同好の友人がいたことなど
から、ジャズに対する耳、知識も少しであるが身体に染みてきたのが80年代初めころ。
このころにはマクリーンを聴けるものは、「4,5&6」、「Swing, Swang, Swingin'」や
スティープル・チェース盤などのリーダー作、またマルの「レフト・アローン」、マイルス
の初期盤、ウォーリントンの「ボヘミア」など、もちろん再発盤であるが少なからず
所有している状況となった。
 「マクリーンって悪くはないけど少しモゲるよなぁ...」
なんて一端のことを言うようにもなっていた。

以前にブログで少し触れたが、84年の2~3月にかけて、初めて海外へ、しかも憧れ
のマンハッタンに約4週間滞在するチャンスを得る。
前述の『YAMATOYA』のオーナー 熊代さんのご好意で、プーさんこと菊地雅章さん
を紹介してもらい、滞在中に何度も時間をご一緒させていただく幸運に恵まれた。
プーさんのプライベート・スタジオの模様替えのお手伝いしたり、奥さんの手料理を
ご馳走になったり、「ススト」の裏話を教えてもらったり、一緒にタワー・レコードにいって
ジャズ盤を物色したり...
このときにプーさんから薦められたのがマクリーンの後期のBN盤数枚とロリンズの
インパルス盤「イースト・ブロードウエイ・ラン・ダウン」だった。
マクリーンの推薦盤は当時の私にはいささか難解であったが、ますますマクリーンを
意識するようになる。
そんなこんなで滞在中に「4,5&6」と「Davis Cup」のオリジナル盤に、とある中古屋
で遭遇する。(オリジ判別の眼はまだ未熟だったのでリイッシュだったかもしれないが)
盤、ジャケの質感に圧倒され、オリジナル盤の魅力にとりつかれることになる。
とても欲しかったが、2枚とも$150、当時のレートで約3万円、手が出ない。
ていうより、オリジ盤の高価なことにビックリ。
オリジは欲しいが金が追いつかない、やはり再発盤でガマンである。

その年の秋に、大阪に名店「ミュージックマン」がオープンする。
再発盤の充実ぐあいも最高であったが、壁にキラリと光るオリジ盤にはため息が出た。
オープン当初は週に2~3回も通う始末。
いつものように指をくわえて眺めていると、店主W氏が、
 「どのへん集めてんの?」
と突然話しかけてきた。
 「えっ..えぇっと、あのその..マッ、マクリーンとかミンガスとかです。」
と私。
 「これ持ってる? 持ってないんやったら安くするで」
と差し出されたのがマクリーンの「コネクション」と「A Fickle Sonance」の2枚のBN盤。
2枚とも6800円とのこと、「買います」と即答してしまう。
マンハッタンでレコードを買った際、オリジナルかどうかはあまり意識なく、価格で
購入するかどうか判断していた。
意識してオリジナル盤を購入したのはこのマクリーン盤が初めてだった。

ここから先はレコード・ジャンキーの泥沼へまっしぐら。
最初の2年こそ、マクリーンとDebutレーベルのみにターゲットを絞っていたが、
欲しいものは尽きず、3千が5千、5千が1万、1万が2万、2万が4万.....
途中から自力で入手することに快楽を覚え、USの音楽タブロイド紙「ゴールドマイン」
を買って、「売ります買います」コーナーに掲載している宛て名に100通を超える手紙
を送り「○○ないか?△△ないか?」と身勝手なオファーを出したり、あっちこちの
オークションに参加したりでレコード三昧の日々をおくる。

マクリーン絡みでは念願の「ネコマク」と「ボヘミア」を90年代半ば頃に入手した際、
 「こんなバカな生活、そういやぁマクリーンがキッカケだったなぁ」
と独りごちた記憶がある。
マクリーンのキッカケが無ければ、私の80~90年代は全く違うものであったであろう。

訃報にふれ、何か聴こうと思ってラックの前に立ったが、どれを選んでいいか迷ってしまう。
悩んだあげく取り出したのがスティープル・チェース盤「ライブ@モンマルトル」。
なんだか染みるなぁ。
合掌。

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