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2008年3月26日 (水)

『Peter Ind - Looking out』

ここのところ幸か不幸か珍しいものを入手したせいか、帰宅すると
レコードを聴く気まんまんである。

野球が始まったせいもあるんですけどね...
毎年野球シーズンになると、テレビの音を消して、レコード・CDを
聴きながら野球観戦をするのが慣例となっているもんなんで。

今日ラックから取り出したのうちの一枚がこれ、

Peter_ind_3Peter_ind_label_3 

 『Peter Ind - Looking out』
   US Wave 1, released 1961


実はこのアルバム、5~6年ほど前にヤフオクに出品したことがある。
なんだか地味で、実験的な雰囲気もあるし、トリスターノの一連のアルバム
と同じで自分には合わん!! ウェウェという唸りも気に障る!!
ということで処分しようとしたんです。   

結局売れなかったので今手元にあるんだけど、出品の際の説明に「このUS盤が
オリジです、珍しいですよ」と書いたのを見て、ある方からわざわざ質問欄に、

「Peter Ind の Looking Out は UKの Esquire盤がオリジナルです。
  Peter Ind は イギリス人です。最初にUK Esquireでリリースし、後に
  彼がイギリスで設立した自身のレーベル『Wave』で再発したんです。
  買い手が混乱しますので、ご注意ください。」
 
というような内容のご忠告を受けまして...ほっときゃいいのだけど、私も
ついつい熱くなってしまい、

「Peter Ind はイギリス人ですが、1951年ころアメリカ移民し、ニュー・ヨーク
  で1957年にレコーディング・スタジオ設立します。
  また1961年にアメリカで『Wave』を興し、件のスタジオで録音していた音源を
  "Looking Out"と表し記念すべきレーベル第一弾としてアメリカでリリースしました。
  この件は、複数の辞典、専門誌、また当時のメトロノーム誌、ダウンビート誌の記事、
  広告で確認しています。
  ちなみにEsquire盤は、当時のUKのジャズ・ジャーナル誌の広告に新譜情報として
  掲載されていますが、US メトロノーム誌の新譜広告の数カ月後の掲載となって
  います。
  UK Esquire盤はUS Wave盤から1年とは遅れていないようですが、明らかに後発です。
  もう一つついでに言いますと、Peter Indは1966-7年ころイギリスへ戻り、1967年
  にイギリスで『Wave』を設立し、"Looking Out" をリイッシュしたり、録り貯めて
  いた一連の音源をリリースすることになりました。
  US Wave盤は自主制作でリリースしたため、殆ど売れてなく,珍しいためあまり知られ
  てないようですね」

というような内容の長文を2回に分けて返信してしまう始末。

当然ながら、これ以上のやりとりはなく、やれやれということになりました。

ついでに書くと、この質問された方、同時期にUK Esquire盤を出品してたんですわ。
自身の出品の際に、Esquire盤が出てるということを認識してたんだけど(ウォッチも
いれてました)、質問者と同一人物と判ったのは、彼が出品を取り下げ、説明文を
変更して再出品してから。 やけに素直な人やぁ と変に感心しましたが。

少しペダンチックなことを書きましたが、実は私の回答の内、ジャズ雑誌のくだりは
友人である廃盤店店主からのもの。

この友人にはホンマに感心させられる。
当時のジャズ誌の広告や読書通信欄なんて、眺めて楽しいだけでなく、まさに情報の宝庫。
彼はこれらの雑誌からもさまざまな情報をピックアップし、自分で検証しながらオリジナル
真贋をジャッジするので説得力がある。
現在は主要な資料しか残してないようだが、その昔は相当数の欧米のジャズ誌を所有して
いて、私もずいぶん参考にさせてもらった。
UK ジャズ・ジャーナル誌なんて、50~60年代分をほぼコンプリートで所有してたんです
からねぇ。

それからdeep groove、flat edge、year mark....etc、オリジを判断する符号は、
彼が使い始めて浸透したものも少なくないと聞く。

家族同然のつきあいをしている、50年代当時ズート等のミュージシャンとつるんでた
ニュー・ジャージー在住のおじいちゃん なんていうすごい情報源も持ってるし。
(もうボケててあてにならんちゅう話しもあるようですが)

やはりプロは違いますな。


ペダンチックついでにもう一つおまけ。
セルマ・グレーセンのWing/Emarcy盤は、Wing盤がオリジナルであるというのが通説の
ようですが、当時はUSジャズ雑誌の広告をみると、Emarcy盤のほうが早く登場します。
WingはEmarcyの傍系レーベルだし、Emarcy盤が先のような気がします。


またまたもう一つ追記、
ブログをアップしようとした際に、「Peter Ind Wave Biography」でググッたら、以下の
情報を発見しました。
Peter Ind のレーベルの公式HP内掲載のバイオグラフィなので正確な情報だと思います。
参考まで。

  『PETER IND - Biography』 http://wavejazz.com/biography.html

私のこの記事にある具体的な年号は、このBiographyを参考にしました。

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コメント

僕はPeter Ind の Looking Out は UKの Esquire盤がオリジナルだと思っていました。勉強になりました。こういうことが気になっている人は日本中で十数人でしょうか。ペダンチックなことも書いてください。

投稿: BS | 2008年3月30日 (日) 15時14分

こういうことを気にしてる人(いわゆるレコード・ジャンキーですね)は数百人ではきかないくらい存在していると思いますよ(笑)...
いまだに東京の某店のセールには毎回行列ができると聴いてますから。
廃盤店店主はおいそれと情報を提供してくれませんから、自分で積み上げるしかないのですが...金がいくらあっても足りませんよね。
私はまともな人間に更生しようとしてるのですが、珍しいものを見るとドキドキしちゃって、まだまだ精神修養が足りません。
友人曰く「病気は治療で直るけど癖(収集癖)は直す薬がない」と。

投稿: MOJO | 2008年3月30日 (日) 18時30分

ブログの面白さのためには、もっともっとドキドキして欲しいのですが・・・
僕もひどいビニール・ジャンキーでしたが、CD収集にソフトランディングしました。CDは数も多いので、強迫観念に捕らわれることがないのでラクチンです。それにジャケの角打ち、底抜けの心配もないし、補修する必要もないし。
まぁ、「癖」からは自由になれなくても、「程度」がかなり軽くなりました。

投稿: BS | 2008年3月31日 (月) 21時57分

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